今年もいよいよ残すところ5日となりました。そして最後の週末です。
早い企業は昨日で仕事納めをし、今日から9連休の企業もあるそうです。
羨ましいですね。僕は30日まで年末の挨拶回りや消防団の年末特別警戒の慰労に
廻る予定です。

昨日「東洋経済新報社」の記事にシラスを儲かる「夢の魚」に替えている愛媛県の漁師、
福島さんが紹介されていました。

その記事によると、海に囲まれた島国日本、豊富な水産資源に恵まれながらも、日本の
漁業は衰退の一途をたどっている。沿岸漁業関係者の平均年収は250万円前後といわれ、
新たに漁業へ従事する若者は少なく、漁師は高齢化が進む。漁業人口はピーク時に
100万人といわれたが、平成21年(2009年)には約22万人と4分の1以下にまで減少しました。

福島さんは、イワシの幼魚であるシラスの漁獲を主体とする朝日共販を経営。年間20億円
以上を売り上げた実績を持ちます。
四国・愛媛の佐田岬半島は、北上するシラスの群れをせき止める地形になっており、日本
有数のシラス漁場だそうです。凝縮された、シラスは大量に獲れる分、安値で取引される
魚でもある。福島さんはこのシラスを儲かる「夢の魚」に変えている。獲って競りに出すだけ
ではなく、加工、販売にも工夫を凝らします。「6次産業化」とも呼ばれる視点です。

「魚は、鮮度が命」とよく耳にしますが、シラスほど鮮度が重要な魚はありません。
シラスが成長したイワシは漢字で「鰯」と書くように、とても弱い魚です。幼魚のシラスは
さらに生命力が弱く、水揚げの時に網にあたるだけで死んでしまいます。つまり、獲った
その瞬間から鮮度も味も落ち続けます。

そんな繊細なシラスで一流の製品を生み出すには、水揚げから加工までの時間が勝負でする
。朝日共販は、漁港近くの加工場で釜揚げシラスを作ります。水揚げから加工まで、わずか
30分。
このスピードこそが専属の漁師と漁団を持つ網元の朝日共販の強みです。
鮮度を重視するため、漁に出て水揚げし工場で加工する行程を1日に6 ~8回繰り返すそうです。

この茹で上げたシラスを、急速冷凍しプールする事で鮮度が高く美味しいままのシラスを安定
して供給する。
シラスが生命力が弱い魚であることを逆手にとる事で、希少価値の高い製品を作り出している
のです。

もう一つのキモが販売です。今でこそ朝日共販のシラスは、全国のバイヤーが買い付けにやって
来ます。
しかし、福島さんが漁師を始めた20年以上前は「どこのシラスも一緒」と切り捨てられていました。

シラスには「大間のマグロ」のように収穫地のブランドイメージで勝負できる強みはなかった。
どれだけ鮮度にこだわって、おいしいシラスを獲ろうとも、それだけで売れるワケではありません。
ましてや、愛媛の片田舎までバイヤーが買い付けにやってくる事などありえなかったそうです。

そこで福島さんは自ら営業に出、東京、大阪などからバイヤーを佐田岬まで招待。そこで漁を
体験してもらい、獲れたてのシラスを使った料理を食べてもらう。
福島さんこだわりの鮮度の良さをバイヤーは身を以て知る。後は簡単です。自然と受注が舞い
込んで来たそうです。

この美味しさを体験するストーリーで、バイヤーから注文が殺到しました。漁獲と加工を行う
シラス漁師だからこそなせる技といえるのです。

「美味しいけど売れない」状況を打破するアイデアが、シラスを「夢の魚」に生まれ変わらせました。

朝日共販では、トライアンドエラーを繰り返す事でヒット商品を生み出しています。

福島さんは、「鮮度が保てないシラス」「都心から遠い田舎」という欠点を、逆に利用する事で、
差別化し、ビジネスモデルを確立しました。
グローバル化が進む中、日本の農漁業は競争が激しくなります。産業の高齢化が進み、衰退する
今だからこそ視点を変えることが求められているのかもしれません。

和田島のシラスも佐田岬に勝るとも劣らない鮮度で、とても美味しいです。

儲かる漁業の確立のためにこれからもPRを続け、販路拡大に取り組みたいと思います。

小松島の「美味しい」を日本へ、そして世界へ届けましょう!


2014.12.27 Sat l 未分類 l コメント (2) トラックバック (0) l top